『ヴィンセントが教えてくれたこと』

(あらすじ)

ビル・マーレイ扮する破天荒なダメオヤジが、12歳の少年との交流を通して生きる力を取り戻していく姿を描いたハートフルコメディ。アルコールとギャンブルを愛する、嫌われ者の偏屈親父ヴィンセントは、隣に引っ越してきたシングルマザーのマギーから、彼女の仕事中に12歳の息子オリバーの面倒を見るよう頼まれてしまう。嫌々ながらも引き受けたヴィンセントは、行きつけのバーや競馬場にオリバーを連れて行き、バーでの注文方法からいじめっ子の鼻のへし折り方まで、ろくでもないことばかりを彼に教え込んでいく。オリバーはそんなヴィンセントと反発しあいながらも、一緒に過ごすうちに彼の隠された優しさや心の傷に気づいていく。(映画.comより引用)

 

 

 

 

目の前に並べられたおもちゃより戸棚の奥底に隠された未知なる物のほうがワクワクするように、自分と遠ざけられた世界ほど、魅力を感じるものだ。

 

 

恐怖よりも好奇心が勝るのは無知故だろうか。主人公のオリバーが不良親父と親密な関係になれたのは、外見や態度などの一時的な見かけだけで彼を判断しなかったからだろう。初めて声をかけたその瞬間から、オリバーは彼に対して壁が無かった。ヴィンセントもまた、子どもを子どもとして扱ったり、ストリッパーの女を差別したりしない。一般的に重要視される社会的な地位で人を判断しないところに、彼ら2人の共通点があるように感じた。(ちなみにネコも社会的な地位で人を選ばない。)

 

 

お互いの心の隙間を埋めるかのように、歳の離れた二人の距離が縮まっていく過程はある意味羨望の対象だ。

純粋に、観ていて羨ましかった。だって楽しそうなんだもん。

 

 

ラストのスピーチは分かっていながらも涙してしまった。

一見奇妙とも思える二人の関係が周囲をも変えていく。

優しくて温かい気持ちになれる作品。

 

 

エンドロールに一工夫加えている映画がすきなのでそこも好みだった。