『シング・ストリート 未来へのうた』

 f:id:momoharu_xxx:20160804000432j:image

 

【あらすじ】

1985年、ダブリン。折しもの大不況により父親が失業し、14歳のコナー(フェルディア・ウォルシュ=ピーロ)は荒れた公立校に転校させられる。家では両親のけんかが絶えず、音楽狂いの兄と一緒に、隣国ロンドンのMVをテレビで見ている時だけが幸せだった。ある日、街でラフィナ(ルーシー・ボイントン)を見かけたコナーはその大人びた美しさに一目で心を打ちぬかれ、「僕のバンドのPVに出ない?」と口走ってしまう。コナーは慌ててバンドを組み、無謀にもロンドンの音楽シーンを驚愕させるPVを製作すると決意する。(Movie Walkerより引用)

 

Once ダブリンの街角で』『はじまりのうた』を手掛けたジョン・カーニー監督の最新作。

 

 

 

感じたことをつらつらと・・・(以下、内容に関わることも書いています。ご了承ください。)

 

 

 

 

 

主人公コナーの横顔がものすごく魅力的で印象に残った。列車の窓から入ってくる風が頬をなでるシーン、新曲の歌詞を夢中でノートに書きつけるシーン(他にもあったはず・・・)。

気持ちがそのことだけにしか向いてない、そんな時の青年の横顔は、大人にはない類の色っぽさがある、と思う。

 

簡単に言ってしまえば、今回も《出会い×音楽=成長》のストーリーではあるのだけれど、ただひたすらに走りつづける無鉄砲さが前作、前々作とは異なるところ。彼女の好みに合わせてバンドのスタイルを変えていくあたりも、単純だなぁ(笑)と思うけど、でも、そこがいい。し、それでいい。のです。(モテたいからギター始めました!も、よく聞く。それでいいじゃないかー!!)

 

彼女を求めていく中で、コナー自身の中でも何かが変わっていく。殻を破らせたのは、恋心の力か、それとも音楽の力か、もしくは、両方なのかな。

 

 

 

兄ブレンダンが作った獣道をたどって生きてきたコナーが、最後は自ら小型船を操縦し、広い海ををかきわけて進んでいく。頼もしくなったアニーの背中を、ブレンダン目線で観ずにはいられない。目に見えて気持ちが離れていく夫婦の下で一人生きていく術を身に付けたのに、はみ出し者となってしまったことへの劣等感を抱えていたブレンダン。コーナーに声を荒げるシーンで、兄としての心の葛藤を強く感じたけど、予告編の翻訳では純粋にコナーを後押しする言い回しにされていました。あのシーンは、観客の想像に委ねるべき部分だったんじゃないかなぁと(偉そうだけど)思いました。

 

 

 

「はじまりのうた」で、マーク・ラファロが初めてキーラ・ナイトレイを見つけるパブでのシーンで感じた、あの感じが今回の作品の中でも3回くらいあった。彼らの声が、音が、空気を変えて、振動がスクリーンを抜けて全身に響く、あの感じ。ぶわーっと鳥肌が立ってゾクゾクした。たまらなかったです。80年代の音楽に詳しい人はもっと違う楽しみ方ができると思います(上映後、少し年配のお客様が懐かしかった~と嬉しそうにおっしゃっていました)。

個人的にはエンドロールはUPで終わってほしかったなー!!

 

 

 

 

動機が不純でも、綺麗なやり方じゃなくても、一生懸命な人は輝いて見えるし、周りを巻き込むパワーを持つなと感じました。(ありきたりな言葉を並べることしかできなくて悔しい。)

 

 

 

 

サントラを聞きながら帰りたくなる度

 ★87%★